体の中で一番油を必要とする臓器は脳です。
脳は水分が78%を占めていますが、それを除くと60%が脂質で構成されています。
人間の脳は胎児期に盛んに細胞分裂を行い、出生後1年間で約80%が完成、3歳までに回路が決定されているといわれています。
脳の情報伝達物質に関わる神経細胞の細胞膜には「オメガ3」という不飽和脂肪酸が欠かせません。
なぜなら、脳の神経細胞はオメガ3が20%以上含まれて、初めて情報が正しく伝達されると言われているからです。
実際に、アルツハイマー、認知症、ADHD(注意欠陥多動障害)の人は脳の神経細胞内にオメガ3が非常に少ないことがわかっています。
特に妊婦さんがトランス脂肪酸を含んだ食事をしたり、乳児期にトランス脂肪酸たっぷりのお菓子などを与え続けていると、脳神経の形成に大きな障害となります。
不足したオメガ3の代わりにトランス脂肪酸が神経細胞の脂肪酸に入り込み、機能を低下させてしまう可能性が充分に考えられるからです。
また、一度出来上がった神経回路は別の回路に変えられません。
そのため、胎児期から乳幼児にかけて「脳の栄養失調」状態が続くと、知能や人間形成に大きなダメージとなります。
注意が必要な油、トランス脂肪酸は油脂に水素添加という処理を施すことで生じるのもので、マーガリン、ショートニング、精製したサラダ油などの市販のほとんどの油脂製品に含まれる脂肪酸です。
トランス脂肪酸はカラダの細胞の細胞膜の中に入り込み、細胞膜及び細胞の働きを狂わせ、また体内でビタミンなどの栄養物質を食い荒らしたりします。
その結果、心臓病・癌・精神病をはじめ様々な病氣の原因になることが数々の研究で明らかになっています。
欧米では、トランス脂肪酸の対策が講じられていて、2006年にはアメリカニューヨーク市は、2008年7月までにすべての調整食品からトランス脂肪酸を排除することを法律として明文化しています。
ヨーロッパでもトランス脂肪酸が一定基準よりも多く含まれた食品は違法とされています。
そんな世界情勢の中で、日本の対応の立ち遅れはひどく、微量だから大丈夫となかなか腰を上げないようとしないのが現状です。
母親がトランス脂肪酸を摂取していれば、当然それは乳幼児に分泌されます。
私たちの細胞膜の状態は、摂取する油の質によって左右されるため、急速に発育、成長している乳幼児がトランス脂肪を自分の細胞膜に使うと外部からの刺激に弱くなり、アレルギーやアトピー体質になる可能性も出てきます。
トランス脂肪酸はマーガリンやショートニングに含まれるだけでなく、天ぷらや豚カツを植物油で上げた時など、植物性油のような不飽和脂肪酸を多く含む油を加熱処理した時にも生成されます。
仮にトランス脂肪酸を使っていないと表示されていても、高温の油で揚げた加工食品は油がトランス化に変質してしまっているのです。
しっかりとした自衛策を取って、自分や大切な家族の健康は自分たちの手で守るという意識を持つことが重要です。
○できるだけ選びたい、カラダに良い油の5つのポイント
1、未精製の物
2、低温圧搾製法(コールドプレス)のもの
3、瓶(茶・緑・紫)などの色入りの物
4、植物性の場合、無農薬・遺伝子組み換えでないもの物
5、バターなどの動物性の油の場合、その動物のエサが草であるのも
しかし、いくらオメガ3脂肪酸がいいからといって、摂り過ぎにはご注意を。
氣が付けば健康、振り返れば幸せ。