多くの人は、食欲や性欲などの欲望はカラダがつくりだし、それを脳がコントロールしているのだ、と考えていると思いますが、それはむしろ逆ともいえるようです。
脳の欲望は、簡単に暴走してコントロールが利かなくなりますが、それをカラダが理性的な判断をして引きとめていると考えるべきらしいのです。
私たちは、おいしい食べ物を食べたり、欲しいものが手に入った後、幸福感が感じられるでしょう。
これは私たちの心に快楽をもたらしてくれる神経伝達物質ドーパミンのはたらきです。
楽しいことを探しにいこう(行動)という気持ちを高めるのがドーパミンなのです。
私たち日本人の多くは、お金さへ払えばおいしい料理を提供してもらえますし、さらには宅配してもらえば家にいながら楽しむこともできるというように、脳の欲望は便利で快適な世の中をつくってきました。
カラダによくないものでも『おいしい』と判断すれば、どんどん食べたくなります。
脳の欲求に従うと、カラダではなく脳を満足させるような食べ物を好むようになります。
脳は摂取したカロリーの20%も消費するので、カロリーができるだけ高い食べ物を好むのです。
これは、ドーパミンが人間を駆り立てて便利で快適な世の中をつくってきたのに、皮肉にもその行きつく先は楽しいことを探しに(行動する)カラダをつかわなくてすむ結果を生んだため、ドーパミンがつくられることのない世の中になってしまったといえるでしょう。
なぜなら、動物園の動物のように、自分で行動して餌をとる行動をしなくなると、ドーパミンがつくられなくなり、報酬のための行動をおこさなくなるのです。
便利で快適な世の中は、それでも脳はドーパミンが渇望し続けるため、その結果暴走を始めるのです。
食に関しては、『おいしい』とテレビや雑誌などで話題になると、すぐに行列をつくって食べないと氣がすまなくなり、むしろ行列に並ぶ行動をしないと、食べたい時にドーパミンが出ないようになるでしょう。
こうして本来であれば生を守る本能的な行動である食の問題は、脳で判断する情報の問題にすり替わっていきます。
お腹がすいてなくても12時になったら昼食にする、おやつは3時に必ず食べる、テレビの番組でいいと言われたから~の食材を食べるなど、脳の命令で行動まで洗脳されないよう氣を付けたいと思います。
氣が付けば健康、振り返れば幸せ。